一般社団法人 すみずみ!みなみおおすみ

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移住者インタビュー ウェン・マイクさん


2026.3.18

魚突きが自由に楽しめる場を求めて

「南大隅町を訪れたきっかけは、趣味の魚突きでした。好きで何度も通っているうちに、ここで暮らすのも悪くないかな! と思うようになったんです。」そう語るのは、Michael Nguyen さん(通称:マイクさん)。2025年9月から南大隅町に暮らす、ベトナム系アメリカ人です。

マイクさんは2013年に来日し、2020年までの7年間、静岡でALTとして小学校での英語教育に携わりました。その後は大阪でALTの指導主事を務め、2021年に退職して個人事業主として独立。現在は、中古車オークションサイトのエージェントとして自動車の海外輸出を行いながら、南大隅の海に潜って魚突きを楽しんでいます。

南大隅の海に潜って獲ったオオモンハタ

現在でも大阪に事務所として部屋を借りており、定期的に仕事で関東に赴いています。二拠点生活に近いスタイルとも言えるでしょう。

マイクさんは移住の実現までに、物件探しのために約1年間何度も南大隅を訪問しました。
南大隅での物件探しのリアルをご紹介しながら、悠々自適に海遊びや自然を楽しむ、マイクさん独自のライフスタイルに迫ります。

魚突きを通して広がるコミュニティ

マイクさんの出身は、アメリカの南西部に位置するカリフォルニア州。シリコンバレーやハリウッドを擁し、全米でもトップクラスの農業産出額を誇るこの地域は、州単独で日本を超える世界4位のGDPを叩き出しています。
温暖な気候はアメリカで最も過ごしやすい地域とも言われており、レジャー目的で世界中から人が集まります。

マイクさんは、サンディエゴとロサンゼルスの間に位置する、海沿いの地域で育ちました。
「家から車で15分ぐらいのところに海があり、釣り・サーフィン・シュノーケリングなど、ありとあらゆる遊びを楽しんできました。海がない生活は考えられないですね!」と笑顔で語ります。

そんなマイクさんが日本にやってきたのは、2013年のことでした。
当時28歳だったマイクさんは、静岡県の小学校にALTとして赴任し、英語を教えることになったのです。「授業で子供たちに自己紹介をすることになり、自分のルーツである海遊びについて紹介したいと思いました。両親に連絡して、実家から釣竿・やす(魚突き用の棒状の道具)・フィンなどを送ってもらい、実物を見せることにしたんです。地元で獲ったコブダイの写真や魚拓を見せたら、子供達も大喜びでしたね」と、笑顔で語ります。

さて、手元に海遊び用のグッズを取り寄せたら、やはり使いたくなるのが人情というもの。
マイクさんはこの時から国内各地のレジャースポットを訪れ、マリンアクティビティを楽しむようになります。
「海や渓流での釣りもしましたが、アメリカと日本では仕掛けやスケールなどのスタイルが全然違います。個人的には魚突きの方が面白いと感じました」とマイクさんは話します。

大きいフエダイを獲ったときの様子

魚突きができるかどうかは、都道府県の『漁業調整規則』で決まっており、それに加えて各地の漁協のローカルルールが存在します。マイクさんはネットやYouTubeで情報収集し、島根・高知・佐賀など、日本の魚突きスポットを巡りました。

全国のスポットに足を運ぶうちに、日本語もぐんぐん上達! 友人も増え、気の合う仲間と魚突きを楽しむようになりました。

ゲストハウスを通して南大隅へ

マイクさんが南大隅のことを知ったのは、伊豆諸島の神津島(こうづしま)で出会った、魚突き仲間からの紹介でした。
「2022年の年末年始に、茨城の魚突きのイベントに遊びに行ったのですが、友人の一人からhello! brand new daysのことを紹介されたんです。彼はその年の11月に訪れて非常に楽しかったそうで、興味を持ちました。」

2023年のゴールデンウィークには仲間たちを連れて、4人でhello! brand new days(通称:ハロブラ)に滞在することになりました。

ハロブラは、2020年に、鹿屋出身の移住者・濱田龍也さんがDIYで立ち上げたゲストハウスです。おしゃれで居心地のいい内装・パッションフルーツやパインアップルを使ったメニューを楽しめるカフェスペースが人気を博し、現在でも県内外から多くの観光客が訪れています。

hello! brand new days 代表・濱田龍也さん
カフェのオープン日はInstagramでチェック!

※hello! brand new days・濱田龍也さんについては、こちらの記事でどうぞ!

※hello! brand new days cafe のInstagramはこちら!

その魅力はなんといっても、テラスいっぱいに広がるオーシャンビュー
「ベランダから降りるとすぐに海に入れるようになっていて、魚突きがやりたい私たちにとっては絶好の宿でした。友人たちと海に潜ったり、夜はベランダで美味しいものを食べたりと、楽しい時間でしたね」とマイクさんは懐かしそうに話します。

南大隅の海にすっかりハマったマイクさんは、その後も2〜3ヶ月に一度のペースで南大隅を訪問し、自分のペースで魚突きを楽しむようになりました。何度も地域を訪れるうちに、オーナーである濱田さんご夫妻を中心に交友関係も広がっていき、佐多の若手漁師さんとも仲良くなります。

「その年の年末年始にもハロブラを予約しようと思ったのですが、お客さんがいっぱいで泊まれなかったんです。そこで奥様の濱田香織(はまだ・かおり)さんから、『南大隅にはお試し住宅もあるから、そちらに泊まってみたら?』と提案を受けたんです。」 

お試し住宅は、南大隅町への移住検討者に向けた住宅設備です。1泊1000円で滞在することができる住宅を4軒用意しており、時期にもよりますがおおむね月に2〜3組の方々が利用しています。

お試し住宅に滞在したマイクさんは、南大隅の居心地のよさを改めて実感! 魚突きで訪れたときの別荘のような形で、南大隅に暮らしの拠点を持ちたいと思うようになりました。

1年かかった物件探し

2024年の夏に1週間ほど南大隅を訪れた際には、すみずみ!みなみおおすみにて移住相談を実施しました。外国人の友人2人とお試し住宅に滞在しながら、空き家バンクの物件を3件ほど見学しました。
物件の購入に向けて、すみずみスタッフ・役場 ・地元民のサポートを得ながら、本格的な情報収集に乗り出します。

しかし、ここからがマイクさんが壁にぶつかったポイントでした。
「理想的な物件が見つかって、購入に向けて大家さんと相談できることになったんです。ですが話を進めるうちに、家と土地で登記の名義が別になっていることがわかりました。家主さん側でパッと手続きできる状態ではないことが明らかになったんです」と、マイクさんは残念そうに話します。空き家バンクの登録物件でも、こうしたケースは多々見受けられます。

その後も2〜3ヶ月に一度ぐらいのペースで南大隅を訪れて物件を探しましたが、値段が高すぎたり、問い合わせるとすでに入居者がいて見学できなかったり、大家さんが協力的でなかったり……。移住したい気持ちはあるものの、住居が見つからないまま時間が過ぎていきました。

そんなマイクさんがやっと理想の物件と出会えたのが、2025年の6〜7月の訪問でした。
例によって魚突きをしながら物件情報を集めていたところ、2024年の冬に移住した方が、ちょうど諸事情で出ていくところだったのです。


マイクさんはすぐに大家さんとの連絡を試み、先住者の転居から2〜3日後には物件を視察。次の日には大家さんと会えることが決まり、無事に購入できることが決まりました
「先住者の方が丁寧に改修していたこともあり、とても綺麗な家でした。倉庫が2つあって、大工道具もたくさん入れられます。市街地付近なので、台風後の停電復旧が早いのも嬉しいポイントです。何度も通って、やっといいタイミングに立ち会えたと思います」と笑顔で語ります。

二拠点的なライフスタイル

マイクさんはの現在のお仕事は、中古車オークションサイトのエージェント(代理人)です。

「海外では軽トラックをはじめ、日本の中古車の人気が高いんです。海外の購入希望者への情報共有・入札・船のブッキングなどを一通り行っています。ほとんどリモートワークなので、PC一つあればどこでも仕事ができるのが嬉しいですね」とマイクさんは語ります。他社からの業務受託の形をとっているので、定期的に関東を訪れるものの、基本的には南大隅町で暮らしています。

地域の方々との飲み会では、得意の手料理を振る舞うことも!

今後の目標は、住環境の整備です。
せっかく家を購入したので、やりたいことをどんどん実現していきたいですね。庭を果樹園にしたいと思っていて、ブラックベリー・ライム・イチジクなどの苗木を準備しています。ゆくゆくは鶏舎を作って、鶏の放し飼いもしてみたいですね」とマイクさんは笑顔で語ります。

裁縫も得意なマイクさん。草木染めに興味を持ち、段取りを進めています

住宅のある西本自治会の行事にも参加して、地域の方々と初の顔合わせを果たしました。地域住民との距離もグッと縮まったようです。

西本自治会の「神社祭り」の様子。毎年2月、稲荷神社にて行われます。
田植えの様子を擬似的に再現して豊作祈願!町内各地の自治会で見られる形式です。

二拠点生活は、理想のライフスタイルを実現するための方法の一つです。仕事を通して都市部と関わりながら、田舎だからこそできる大自然との触れ合いを楽しむ。地域のコミュニティに慣れるまでは大変かもしれませんが、自分なりのバランスを見つけられれば、非常に理に適った方法です。

南大隅の海に惹かれ、仕事と暮らしのバランスを見極めながら、悠々自適に趣味を楽しむマイクさん。多趣味で陽気なマイクさんが、南大隅でどんなライフスタイルを展開していくのか、同じ住民の一人として楽しみでなりません。

(文・写真:大杉祐輔)

鹿児島県の漁業調整規則の遊漁に関する事項は、2026年3月時点では以下のようになっています。
南大隅町内での魚突きについては、町内各地の漁協(ねじめ漁協、鹿児島県漁協 佐多支所・佐多岬支所)にお問い合わせのうえ行うことをお勧めします。