一般社団法人 すみずみ!みなみおおすみ

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すみっこ留学6期生 野口みわさん 活動レポート


2026.8.24

東京在住58歳セラピスト、地域に飛び込む!

「地域のお祭りに参加していると、地元の方々が土地や自然を大事にする姿勢が伝わってきました。自然と人間、過去と未来のように、地元の中で受け継がれていく『循環』が見えてきたんです!」

そう笑顔で語るのは野口みわ(のぐち・みわ)さん。
2026年の7月から1ヶ月間、すみずみ!みなみおおすみの企画する移住体験プログラム「すみっこ留学」に参加しました。農業を中心に地域の仕事を体験しながら、地域の夏祭り・伝統行事などの「地域活動」に参加し、南大隅のリアルな暮らしを体感していただきました。

すみっこ留学6期生・野口みわさん。プログラム期間中は、ご家族で南大隅に滞在しました

東京でマッサージ・セラピストのお仕事をしながら、神奈川の農園に通って、栽培について学んでいるみわさん。
自然農を中心とした自給的なライフスタイルを目指す彼女が、すみっこ留学を通して感じた南大隅の魅力・今後の展望ついてご紹介します!

すみっこ留学活動報告会では、Instagramでのレポートをもとに発表いただきました

◆みわさんのすみっこ留学体験は、すみずみのInstagramにも投稿されています!
→動画も写真も盛りだくさんですので、ぜひご覧ください!

https://www.instagram.com/sumizumi.minamiosumi

「保育園留学」で感じた、地域との相性

みわさんが初めて南大隅町に訪れたのは、2025年の11月。6歳になるお孫さんの「保育園留学」に同行し、1週間ほど南大隅町の佐多地区に滞在したときのことでした。

「私たち家族は、東京都の多摩市に住んでいます。夫は長年IT関係の仕事をしているのですが、コロナ禍以降はフルリモートになりました。東京に縛られず、自由なライフスタイルを描いてみるのもいいなと思ったんです」とみわさんは話します。

根占~佐多にかけての海沿いの風景。錦江湾を挟んで、薩摩半島の開聞岳がよく見えます!

「保育園留学」は、株式会社キッチハイクが運営する、「都市部で子育てをする家族が、地方の保育園に子供を通わせながら、家族で地域に滞在する仕組み」を提供するサービスです。子育て環境の選択肢を広げるだけでなく、地域活性化も視野に入れた取り組みとして、全国の自治体に広がっています。

南大隅町でも2025年、佐多で唯一の保育園「はまゆう保育所」にて実施されていました(現在は中止)。

移住先を検討していたみわさんご夫妻は、同居している娘さん・お孫さんに同行して、佐多の「お試し住宅」に1週間滞在することになりました。

生き物が大好きなお孫さんは、自然いっぱいの保育園・佐多暮らしに大満足! 
登園前には毎日お母さんと釣りに出かけたり、お母さんは滞在中に佐多の海に通ってダイビングのライセンスを取得したりと、海辺の暮らしを満喫することができました。

佐多の海はダイビングの聖地!多種多様な魚が生息しています。
ウミガメが泳ぐ姿。根占・大浜地区の砂浜には、多くのウミガメが産卵に訪れます
産卵期にはエイの群れが見られることも!これが見られる地域は、全国でも珍しいとのこと

みわさん自身も、佐多に滞在する中で「ここなら住めるかも!」という思いが湧いてきました。


「もともと『暖かい海辺の地域で暮らしたい』というイメージがあって、パッションフルーツを中心とした熱帯果樹の栽培にも興味がありました。地元の皆さんは『ここは限界集落だよ』なんておっしゃいますが、自然豊かな環境と佐多の方々のパワフルさに、地域としての大きなポテンシャルを感じたんです」と当時を振り返ります。

近年は熱帯果樹栽培に力を入れている南大隅町。パッションフルーツ農家も増えつつあります!

そして2026年の3月、地方移住に興味のある方々と地域をつなぐプラットフォーム「スマウト」にて、すみっこ留学の募集記事を見つけました。
佐多での滞在を思い出し、本格的な移住検討を目指してエントリーしたみわさん。その後の面談を経て、無事に受け入れが決定!


7月中旬から南大隅に再訪問し、1ヶ月の中長期滞在プログラム「すみっこ留学」がスタートしました。

みわさんのすみっこ留学プログラム

すみっこ留学では、農業を中心に地域の仕事を体験しながら、地元の行事やイベントなどの地域活動に参加していただきます。2〜3日の短期滞在ではわからない実際の「暮らし」を体感することで、本格的な移住検討を可能とする、「大人の半島留学」です。


受け入れ決定後はみわさんの希望をお聞きし、就業体験先や地域活動のプログラムをオーダーメイドで作成していきました。今回の受け入れ先・地域活動は以下の通りです!

◆小濱家
・ピーマンの管理作業

ライチやバナナが庭先に植わっているなど、鹿児島の植生にびっくり!

※Instagram投稿はこちら!
https://www.instagram.com/p/DbJl4PWEz37/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

◆杉野家
・水田の除草
・果樹の除草
→パインアップル・アボカド・レモン・コーヒーなど
・「食べられる森」の管理
(果樹・野菜・ハーブ・多年草などの植物を自然の森のように共生させ、持続的に食料を収穫する仕組み)

受け入れ農家の杉野薫さん(左)、「食べられる森」の作業でご一緒した中村末男さん(右)

◆花の木農場
・稲刈り後の水田の片付け
・茶畑の除草
・お茶工場の見学

◆富田家
・バラの管理作業
→花摘み・脇芽とり・株の切り落としなど

◆田淵家
・ミニトマトハウスのネット張り(日除け・防虫用)

◆後藤家
・紅茶の管理作業
・製茶作業場の見学

無農薬で紅茶を作り、全国に出荷しています
機械による揉捻(じゅうねん)の様子。葉を揉みこむことでキズをつけ、発酵を促します
ビニール室での発酵ののち、乾燥させます。 加工作業は、廃校の跡地を活用して行っています

※Instagram投稿はこちら!
https://www.instagram.com/p/DcUXI8gEzqp/?utm_source=ig_web_copy_link&igsi=MzRlODBiNWFlZA==



【地域活動】


◆ボタニカルファクトリー
・各種製造体験:オーデコロン・サシェ(香り袋)・バスソルト
・ホーリーバジル摘み

◆すみずみ交流会 夏の陣

◆ごれっそう(根占・大浜地区の盆送り行事)

受け入れ農家の杉野薫さん(中央)、同時期のすみっこ留学生である高柳亮太郎さん(左)・横山優花さん(右)との一枚

◆辺塚夏祭り

※Instagram 投稿はこちら!
https://www.instagram.com/p/DcAs76TD9OB/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

地域に受け継がれる「循環」の中へ

実際にすみっこ留学を体験してみて、みわさんが驚いたのは、受け入れてくださる住民の皆さんの暖かさでした。 

「大浜地区のお盆の伝統行事『ごれっそう』の準備をお手伝いしたのですが、鹿児島大学の学生さんもたくさん来ていました。そのときはあまりお話できなかったのですが、その後に参加した、佐多の辺塚地域での夏祭りにも学生さんが来ていて、じっくりお話を聞けました。
学生のみなさんは地域で楽しみたい!貢献したい!という気持ちがすごくて、地域の皆さんも楽しんで接していました。学生たちとまるで親戚のように接していて、地域の根本にある暖かさに触れた気がしましたね」とみわさんは語ります。

農作業中にほかの学生と一緒になることも!話が弾みます

また、すみっこ留学で出会った先輩移住者からも、大きな影響を受けたと言います。

花の木農場では、2004年から南大隅に移住した榎本理穂(えのもと・りほ)さんが働いており、とても親切にしていただきました。『なんでここまでよくしてくださるんですか?』と聞いてみたところ、『自分も移住してきたときに地元の方々によくしてもらったので、その恩をこういう形で返していきたいんです』とおっしゃっていたんです。
これは『恩送り』といって、『誰かから受けた恩を、別の誰かや次世代に向けて返していく』考え方なんだそうです。自分の中に新たな価値観のものさしができた気がします」と、みわさんは感慨深そうに語ります。

花の木農場スタッフ・榎本理穂さん。東京出身で、2004年に根占に移住しました

こうした体験や、たくさんの地元農家との関わりを通して、将来に対するビジョンも明確になりつつあります。


「決して慣行農法を否定するわけではないのですが、やっぱり私は、自然と調和したできるだけ手のかからない『農』のあり方を目指したいなと思いました。家の周りに畑があって、果樹が植っていて、自然や生態系の中に我々の生活がある。そういう暮らしを実現するには、鳥獣害や防虫などいろんな課題があると思いますし、中途半端な知識で始めると地域との不協和音を起こしてしまうのも自覚しています」と、みわさんは真剣な表情で話します。


「農作業を通して視野が広がり、自分の中ではわかっていたと思っていた知識について、さらなる疑問が出てくるようにもなりました。地域の方々のお話をたくさん聞きながら、これからもっと勉強して、少しでも理想のライフスタイルを実現できるよう前進していきたいです。」

みわさんは、すみっこ留学での滞在を通して、「地域に受け継がれてきた『循環』の存在を感じた」と言います。

地元民と移住者、受け入れ側と学生、自然と人、過去と未来…。
そこに生まれ育って暮らしてきた「土の人」と、外部からやってきた「風の人」が交わることで、地域のあり方に渦を起こし、新たな形が生まれていく。その中心には必ず「人」がいて、絶えずバランスをとる努力をしていかなくてはいけない…。

実際に地域の中に入ってみて、両者の存在を強く感じたみわさん。
南大隅町での経験を通して、新たな「風の人」として地域で活躍される日を、楽しみに待っています。1ヶ月間、たいへんお疲れ様でした!

文:大杉祐輔  写真:野口みわ・大杉祐輔  一部画像提供:地域住民の皆様