中川夏帆
でかくて甘い!鹿児島の郷土料理「煮しめ」
先日初めて、鹿児島の郷土料理「煮しめ」を作りました!
煮しめは大根や人参、しいたけ、昆布、じゃがいもなどが入った煮物で汁がなくなるまで煮しめた料理です。「煮しめ」とつく料理は私の出身地にもありますが、一般的な煮物に似ていて、汁がなくなるまで煮たりはしないそうです。
南大隅町で地域のお母さんたちに話を聞くと、昔は冠婚葬祭の行事があると自治会や集落のお母さんたちが総動員で煮しめを作ったそうです。「煮しめ」は各地域によって味付けや仕込み方などは様々だと思います。
南大隅町のお母さんたちが作る煮しめは”具材がとても大きい”のが特徴の1つではないかと考えます。人参や大根を縦長に大きく切ることに、最初は驚きました。具材の大きさは決まっているのかとお母さんたちに聞いたことがあるのですが、「各家庭それぞれよ~」と仰っていました。
それでも共通しているのは、でかい!!! 大きいとかじゃないんです。「でかい!」と言わせてください(笑)おでんに入っている大根よりもでかいんです。昆布と大根、こんにゃく、厚揚げは必ず入っているような印象を受けますが、それ以外にも里芋や豚骨などを入れた煮しめを食べたことがあります。
味付けもどちらかといえば九州の甘い醤油とざらめを入れ、甘さが引き立つ味ですがとても美味しいです。具材が大きいというのもあって、味をしみこませるためにも半日以上はかかるそうです。前日に昆布や干し椎茸で出汁をとる準備から始まる煮しめ。とても手間がかかるんですよね。

その煮しめを、移住して1年目の私が作る日が来るなんて…。それも地元の方々に食べていただく機会でしたので、とても不安でした。お母さんたちが作る「ザ・煮しめ」の味を出せるとも、到底思いませんが、いい機会なので挑戦させていただきました!
結論から申し上げますと、自己採点は「煮しめもどき」でした!本来ならば前日から具材を煮込んで、冷まし、味を染み込ませたところに、次の日に汁気を飛ばして完成!としたかったのですが、当日に作ったので汁気も飛ばず、ザルに具材をとって無理やり煮しめにしました。
味付けもお母さんたちみたいに適当に入れて、一緒に手伝ってくださった煮しめづくりの初心者3人で「こんな味かな?」「もっとこうしたらいい」など今まで食べてきた味を思い出しながら模索しました。具材の切り方もその時よくわかっていなかったもので、小さくおでんのような大根の切り方になってしまいました。
結果、地元の方々に美味しいと言っていただけてほっとしたのですが、自分の中ではもっと美味しい煮しめをつくれるようになりたい!と煮しめへの思いがふくらみました。また機会があれば挑戦したいと思います。煮しめって奥深い…。

さつまいも入りの揚げ物「がね」
別の日、農家さん宅にお邪魔し、「がね」の作り方を教えていただきました!
「がね」とは鹿児島県の郷土料理で、さつまいも・人参・ニラなどの野菜と、小麦粉あるいは米粉、卵、薄口しょうゆ、砂糖を混ぜ合わせて、油で揚げた料理です。出来上がった形が蟹(かに)によく似ており、鹿児島弁では蟹のことを「がね」というのでその名が付いた料理です。
初めて食べた時、お砂糖を入れているので甘じょっぱく、「これはおやつなのか、それともおかずなのか…?」と不思議な感覚になりました。地元の方にも聞くと、食卓のおかずというよりも、おやつとして小さい頃はよく食べていたそうです。
各家庭によってもさつまいもを入れること以外には多少違いがあり、私が初めて食べた時には玉ねぎが入っていました。

今回教わったのは、さつまいもを栽培している農家さんのお母さんです。最初の工程でさつまいもを少しゆでると色味がはっきりして、できあがりが綺麗だと教えていただきました。
材料には、さつまいもはほぼ必ず入れるのですが、それ以外は家庭によって多少違いが出てくるそうです。今回は基本的な材料に加えて、豆腐を入れました!豆腐を入れるとまとまりやすく、ふわっとした仕上がりになるそうです!蟹のようにみせるのには少し斜めに千切りするといいそうですよ。
油で170~180度で揚げて、カラっと上がってきたら完成です。…と、作り方の説明をしてしまいました。お母さんが作ってくださった旬のタケノコを使った料理と共に、美味しくいただきました。

今回教わったものを実際にやってみると、とても簡単!そうにみえて、実は煮しめづくりの日の某初心者3人組で作ってみたのですが、なかなか難しかったです。お母さんたちみたいにぱぱっと作るのは至難の業ですね!味はとても美味しかったのですが何かが足りない?気もして。それもなんだかいい思い出です。
鹿児島は気候も温暖で、年間を通して本当に多くの農作物ができます。色々な料理と新しい味に出会うことができそうで、今後のお料理がとっても楽しみになりました!
また次の投稿でお会いしましょう!
(文・写真:中川夏帆)



