空から見下ろす田畑の景色、緑の山々、青い海。
地上で見るのもとは一味ちがう上空からの映像の美しさに、思わず見入ることがある。
近年、テレビでもよく耳にするようになった「ドローン」が、この美しい空撮映像を撮影している。
2021年4月、福岡の地から南大隅町佐多辺塚に移住した金村弘通さんは、
このドローンを操作する、ドローン空撮カメラマンだ。
現在、【PDS南大隅】代表として活動する金村弘通さんにお話を伺った。
金村さんを訪ねて、佐多・辺塚へ
お家を訪ねると、「こんにちは~」と明るい笑顔でご夫妻が迎えて下さった。
金村さんご一家は、この春、福岡から辺塚の地へ移住した。
移住にあたっては、辺塚校区公民館のみなさんが
片付けから改修作業まで、手厚くサポートしてくださったという。
「移住する前に足を運んで家を見ました。私も、少しだけど改修作業に関わらせてもらったりして」。
ドローンを操作されるようになったきっかけ
機体自体のバランスを保ちながら、角度を変え、移動するドローン。
そこに加えて、映像や画像を撮影するとは、指がいくつあったらできるのかと不思議でならない。
「小学生の頃から、ラジコンが好きでした」と話す金村さん。
幼い頃からラジコンやゲーム機器をさわっていた経験が、操作にもつながっているのだという。
また、前職では、カメラや写真も扱っていたという金村さん。
「ほかの人にはない視点で写真を撮りたい」という思いから、ドローン撮影に挑戦したのだという。
「撮影をしながら、スカイダイビングの疑似体験をしている感じ。鳥になった気分です。ドローンを操作していなければ見ることのできなかった視点で、景色を見ることができています。ほかの人とは少しちがうと視点という面白みがあるのかな」。

ドローン撮影にも、カメラマンの個性が出る
金村さんは、「撮影する人によって、写し方や操作、感性、個性が出る」と語る。
さらに、その日の風向きや、風の強弱によって飛行状況が異なる。
そうした中で、飛ばすという操作をしながら、カメラのアングルを変えていく。
ドローンの扱い方を聞けば聞くほど、テクニックを要する動作だと感じる。
「日々、操作するようにしています。やはり動かさないと、指が鈍ってしまうので」。
金村さんは、現在、日々撮影した町内の映像を、FacebookやYouTubeをはじめSNSを通してオンライン上で発信している。
「まずは一度、撮影した動画や写真を見てもらえたら」と話す金村さん。
普段なかなか見ることのできない辺塚の景色、晴れた日の海の色、町内にあふれる初夏の緑。
地上から上空へ飛び立つ映像に、南大隅町の広大な自然をあらためて感じる。
「記憶を記録に」
地方ではとくに、日常の歴史や文化が映像記録として残っていないことも多い。
金村さんは、「季節ごとの景色、天気や陽の明るさ、そこで活動する方々、その瞬間の地域の風景を記録として残せたら」と話す。
クライアントとコミュニケーションを取りながら
ドローン撮影を依頼したときの流れについてお伺いした。
「場所やイメージをお伺いした上で、現場へ足を運び、ドローンの試運転を行います。できれば、クライアントさんにはその場で見てもらって、撮影カットの最終確認ができたらと思います。おまかせももちろん大丈夫です」。
PDS南大隅では、撮影と編集を別料金としている。
撮影データの引き渡しのみというプランと、撮影プラス動画編集までしてくださるというプランだ。
最近は、動画編集を自身でする方も増えている。
空撮データをいただいて、あとから編集したいという方は前者のプランもありだ。
また、素材があれば、映像の編集だけを行うことも可能だという。
要望に応じて柔軟に対応できるのは、大手ではなく個人で仕事を請け負っている特権なのかもしれない。
ドローン撮影を通して、地域の中で役立てていけたら
金村さんは、「ほかにも、農業用ドローンを買ったけれど、使い方がわからないという方の操作を委託することもできます。場所は、南大隅町内に限らず、大隅半島はじめ県内各地お伺いすることができますよ」と言う。
もちろん、オンラインでの打ち合わせも可能だ。
あわせて、「防災という点でも役立てていただけたら」と話す。
近年の自然災害を鑑みると、地域全体の地形や地理的特徴を把握しておくことは、地方の防災においても一助となるだろう。
まちづくりに関わっていきたい
「今後、ドローンによるイベント撮影はもちろん、観光PR動画の撮影などにも関わっていけたらと思います。南大隅町の素晴らしい景色を映したい」と話す金村さん。
金村さんの動画やその発信の頻度には、南大隅町の風景を空撮したいという想いがあふれているように感じる。
南大隅町で、リモコンを手に、楽しそうにドローンを飛ばしている男性がいたら、金村さんかもしれない。
そんな旦那様を支える奥様の笑顔とおしゃべりが、これまた明るい。

笑顔の素敵な金村さんご夫妻。
町でお会いできたら、ぜひ話しかけてみていただきたい。