一般社団法人 すみずみ!みなみおおすみ

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南大隅の人々【後編】


2025.11.5

暮らしてわかる、南大隅の社会性

前編では主に、南大隅町の住民お一人お一人の魅力について触れました。パワフルでユーモアたっぷりな人達が、深くつながり合って暮らしています。

後編では、人々が深くつながり合って暮らしていることで、日々、どんなことが繰り広げられているのか、またまた私の独断と偏見ですが、つらつらと書いてみようかと思います。もしよろしければお付き合いください。

人のつながりの豊かさ

一般的に、人とのつながりと言われてイメージするのは、家族や親戚のつながり、学校や職場のつながりです。

南大隅町では、それにプラスして、昔の同級生つながり、「子供が同級生」つながり、自治会つながり、校区つながり、さらにいくと、猟友会とか消防とか、むかし子供の部活で一緒だったとか。都市部では「異業種交流会」が企画されていたりしますが、南大隅町では普段の生活の毎日が、異業種交流会のようです。

そして、その複雑で多様なつながりの中では、人と人とのつながり方がとてもフラットだと感じます。職場では部下を何人も抱える偉い人も、地域の行事の中では普通の人。肩書を超えて、お互いに親しみを込めて下の名前で呼び合います。

80歳のおじいさんであっても、「ケンちゃん」であり「シンちゃん」であり続けられる、そんな南大隅町は最高なのです。

ひとりひとりが多能

暮らしていると、南大隅町の人達は、本当に何でも自分で出来ちゃうなぁと感じます。そして、芸達者だなぁとも。

なぜこうなっていると思いますか。私が考えるには、都市部だと、お金でいろんなサービスを受けられますし、出かければいろんな楽しめる場所がありますが、初めから何も無い南大隅町では、頼むところがないし娯楽も少ない。だったら、自分達でやるしかない。そうやっていくうちに、得意な事が増えていくのではないかとひそかに思っています。

そして一番驚くのは、得意なことを、住民同士がお互いによく分かっていることです。

何かやろうとするときに、例えば料理を準備しなきゃいけない。

「それだったら料理が得意な〇〇さんに頼もう!」「太鼓が上手な人がいるから、その人に会場を盛り上げてもらおう!」そんな感じで、一人一人が活躍できる場所が、周りの人達の掛け合いの中でどんどん用意されていきます。

また、自分の得意な事で、みんなの役に立てる事が分かっているから、花を生けるのが得意な方が、自ら「私がステージ上の花を生けようか?」となります。

そしてこの、長年の積み重ねの中で鍛えられてきた、みなさんの得意な事は、自治会の行事や校区のお祭りの時だけに発揮されるものではありません。災害時や緊急時もまた、お一人お一人の能力が発揮される場となります。

ユンボが得意な人、水道の修理が得意な人、いろんな得意な人達がたくさん南大隅町にいて、お互いに助け合って暮らしています。

一人一人がやれることをやれる範囲でしていくと、自然とあらゆる事ができてしまう、そんな南大隅町は最高なのです。

まだまだ、挙げればきりがありませんが、あとは、実際に来て体感してもらうのが一番と思います。

あらゆる交通手段を駆使してきたとしても、簡単にはたどり着かない南大隅町。訪れるのが簡単ではない分、たくさんの新たな発見に出会えるかもしれません。

(文:梅木涼子)